一般社団法人 九州地域づくり協会
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第18回 豊饒の海と急流の渓谷を巡り、古里の営みに思いを馳せる旅へ。
 不知火海・球磨川紀行

緑濃い山地と変化に富んだ海岸線が続く、雄大な熊本県南部の地。
清流球磨川をはじめ、幾多の河川がそそぐ不知火海(八代海)とその周辺には、
橋梁や隧道、治水・港湾設備を築いた知恵と技が、今も生きている。


国内最大級の石造樋門

 長九州自動車道「八代」ICから国道3号に移り、八代市街へ。
荻原町で左折して球磨川河岸に上る。県道158号を上流へ向かうと、川沿いに大きく湾曲した荻原堤防【1】と壮大な遥拝堰【1】に出会う。どちらも元和年間(1620年頃)、加藤清正の築造と伝えられる。石張りの水はねを備えた堤防と幅800mもの強固な石堰は、幾度も改修を重ねており、往時の姿をしのぶことは難しい。
 国道3号に戻って西へ。旭中央通の信号から南下すると、球磨川に夕葉橋【2】が架かる。
昭和39年(1964)の完成当時、片持ち張り出し架設という最先端のディビダーク工法が採用された橋梁。今も現役の幹線道路橋として活躍している。

 旭中央通の信号から県道14号を北上し、県道336号との交差点を西へ。郡築六番町のT字路で南へ向かうと、郡築三番町樋門【3】がある。建造は明治33年(1900)。躯体部分は長さ33.09mの砂岩切石積み。
端正な10連アーチは赤煉瓦積みの洋風デザイン。干拓地に築かれた3つの樋門の内、現存する唯一のものであり、石造樋門では国内最大級だ。

遙拝堰

【1】遙拝堰

萩原堤防

【1】萩原堤防

夕葉橋

【2】夕葉橋

郡築三番町樋門

【3】郡築三番町樋門


貴重な存在の“兄弟橋”

 八代市街の新荻原橋から南へ向かう国道219号が、旧人吉街道である。球磨川沿いを走るJR肥薩線「鎌瀬」駅の先に、第一球磨川橋梁【4】が架かる。
ピン結合方式のトラス橋は長さ205m。明治41年(1908)の架設当時のピン結合がそのまま残っている。川に対して斜角を付けたトランケート式であり、斜めに川を渡る珍しいスタイルである。

第一球磨川橋梁

【4】第一球磨川橋梁

瀬戸石ダム

【5】瀬戸石ダム

第二球磨川橋梁

【6】第二球磨川橋梁

そして、同「瀬戸石」駅の先に堤高26.5mの重力式コンクリートダム瀬戸石ダム【5】がある。球磨川では「魚ののぼりやすい川づくり推進モデル事業」を推進。このダムも左岸にトンネル式魚道を整備。隣の観察施設「くまがわ 川のとっとっと館」で、魚道を上る魚の姿を見ることができる。
 その先、同「渡」駅の手前に橋長179mの第二球磨川橋梁【6】が架かる。先程の第一橋梁と同時期に架設された“兄弟橋”。現存するトランケート式橋梁はこの2橋だけである。
 国道219号を北へ戻って県道27号へ折れ、国道3号へ。八代市と水俣市の間にある3つの峠、赤松太郎、佐敷太郎、津奈木太郎は三太郎峠と呼ばれ、箱根と並ぶほどの難所であった。豊臣秀吉の薩摩攻めの折、軍勢はこの地を避けて海路を選んだという。

 この佐敷太郎峠と津奈木太郎峠には、かつて旧国道3号に隧道が掘られていた。県道27号を西へ走り、佐敷川の手前の信号を右に折れて直進。細い山道を上ると(旧)佐敷隧道【7】が現れる。一方、佐敷から国道3号を南下し、肥薩おれんじ鉄道「湯浦」駅の先、右カーブの途中で左折。県道271号の手前を右折し、山道を登ると(旧)津奈木隧道【8】がある。
前者は全長433.5mで明治36年( 1 9 0 3 )に、後者は全長211.6mで明治34年(1901)に完成。どちらも半円アーチ状の坑口は冠木門型、ポータルは煉瓦積み。どちらも幅員5.5mを確保。後の自動車時代に備えた構造だ。

(旧)佐敷隧道

【7】(旧)佐敷隧道

(旧)津奈木隧道

【8】(旧)津奈木隧道

堂々たる世界文化遺産

 妙さらに、国道3号を南下し、同「津奈木」駅の手前、右手のガソリンスタンドの角を右へ。T字路を左折して進むと、津奈木重盤岩眼鏡橋【9】が見える。嘉永2年(1849)、名石工・岩永三五郎の弟三平が架橋した一連石造橋。アーチ上の石積みが少なく、軽やかで端麗な容姿。この橋は旧薩摩街道筋にあり、かつては西郷隆盛や坂本龍馬も往来したことだろうと思われる。
 国道3号を北上し、国道266号で西へ折れて宇土半島の西端まで走り、天草五橋の1号橋天門橋【10】を渡る。全長502mの連続トラス橋。昭和41年(1966)の築造当時、この構造で中間支間300mは世界最長であり、その架橋技術の高さで世界中から注目された。
 本土側に戻って国道57号のT字路を左へ進めば三角西港護岸・(旧)三角港【11】である。
港湾施設の設計はオランダ人技術者ムルドル。石積みの護岸やふ頭、石造りの水路や橋などが整備され、明治20年(1887)に完成。国費で築造された3港のうち、当時の施設が現存するのはここだけ。貴重な史跡であり、2015年に「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として世界文化遺産に登録されている。
 八代・球磨・宇城地域には国道3号沿いに道の駅「うき」、「竜北」、「たのうら」、同219号沿いに「坂本」、同266号沿いに「不知火」、県道27号沿いに「大野温泉」があり、地域の特産品がそろっている。

津奈木重盤岩眼鏡橋

【9】津奈木重盤岩眼鏡橋

天門橋

【10】天門橋

三角西港護岸/(旧)三角港

【11】三角西港護岸/(旧)三角港

 

道の駅地図

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