一般社団法人 九州地域づくり協会
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第19回 山深い渓谷に連なる鉄路陸路は、幾多の難関を越え、未来を目指す。
 福岡県東の隧道・橋梁群を往く

かつて産炭地として日本の近代化を支えた福岡県東部。
起伏ある山野、渓谷を延々と結んだ鉄路陸路は、石炭輸送をはじめ、文物の交流に絶大な役割を果たした。
その道程には地域発展を願う技と心意気が刻まれている。


石炭輸送を支えた鉄路

 九州自動車道「小倉南」ICから国道322号を南下し、JR九州の日田彦山線「呼野」駅の先で右に折れると、同線をまたぐ煉瓦造りの跨線橋がある。その南側、複線サイズのトンネルに単線レールが走る金辺トンネル【1】が見える。石炭輸送のため明治期に複線の鉄道が計画され、私鉄の金辺鉄道がトンネル工事に着工。しかし、資金が続かずに中断した工事を私鉄の小倉鉄道が引き継ぎ、難工事の末、大正4年(1915)に全長1,444 mの煉瓦トンネルを完成させた。
赤茶けた石造りのポータルはどっしりと重厚な姿で、その歴史を静かに語りかけている。
 そのまま国道を南下し、「宮原」信号の先を右に入ると、大正4年(1915)竣工の欅坂橋梁【2】をくぐる。壁面と基部は切石積み。アーチと天井は繊細な煉瓦積み。鉄道軌道に対して隧道部が斜めに抜ける斜架拱は、天井部の煉瓦がねじれるような縞模様を描くことから、”ねじりまんぼ”とも呼ばれる。径間6.55
mは現存する煉瓦斜架拱では2番目の大きさだという。
 「唐子橋」信号で国道201号に入り、新仲哀トンネルの手前で脇道へ左折。うねうねと峠に向かうと(旧)仲哀隧道【3】に着く。全長432mの素掘りトンネルは明治22年(1889)に完成。昭和4年(1929)に3.6mから5mへと拡幅された折、煉瓦と石積みが美しい今のポータルが 建造されたが、老朽化のため現在は通行止め。ここを訪れた種田山頭火は「登りつめてトンネルの風」という句を詠んでいる。

金辺トンネル

【1】金辺トンネル

欅坂橋梁

【2】欅坂橋梁

(旧)仲哀隧道

【3】(旧)仲哀隧道

複線構想だが単線運行

 平成筑豊鉄道田川線「勾金」駅前の県道204号を西へ向かい、香春町の境界手前で右の脇道に入ると、橋長10.62mの
中津原橋梁【4】がある。そして同線「内田」駅の先約1㎞から右の細道に入ると、橋長13mの内田川橋梁(めがね橋)【5】がある。この2橋は”兄弟橋”のよう
に、よく似た特徴を持つ。どちらも明治28年(1895)完成の3連アーチの煉瓦拱渠。片側の壁は赤煉瓦の突き出しによってアーチ部には市松模様を、壁面部には水平スリットを描いた独特の積み方である。これは将来の複線化を想定し、路盤の拡幅時に煉瓦を継ぎやすくする工夫だと言われている。
 県道34号沿いの同線「源じいの森」駅の近くに駐車し、線路脇を東へ歩くと、明治28年(1895)完成の第一石坂トンネル【6】が現れる。ドイツ人技術者の指導で建設された九州最古の鉄道トンネルは、複線断面で掘削されたが、結果としては単線のみで運行されてきた。
入口アーチ部の5層の煉瓦積みは流麗で美しく、見る者に鮮烈な印象を残す。
 県道を東へ進み、豆腐料理「山八」の先で大きく右折すると、右に径間6.1mの奥ヶ谷川橋梁【7】、左に径間4.57mの奥ヶ谷池橋梁【8】が並ぶ。どちらも明治28年(1895)に完成した煉瓦拱渠。煉瓦の積み終わりを歯形状に残した下駄葉構造が特徴であり、田園風景に馴染む落ち着いた意匠には、気配りさえ感じられる。

中津原橋梁

【4】中津原橋梁

内田川橋梁(めがね橋)

【5】内田川橋梁(めがね橋)

第一石坂トンネル

【6】第一石坂トンネル

奥ヶ谷川橋梁

【7】奥ヶ谷川橋梁

奥ヶ谷池橋梁

【8】奥ヶ谷池橋梁

再利用された煉瓦橋脚

 築上郡の吉冨町役場近くを走る県道108号には、橋長214.4mという堂々たる山国川橋【9】が架かる。明治37年
(1904)の完成時は、赤煉瓦製橋脚に上部は木造トラス構造だったが、昭和9年(1934)の拡幅工事で上部がコンクリート造りに替えられた。現在の煉瓦橋脚の基部には情趣あふれる半円形の開口部が見られるが、これは以前の橋脚を再利用した部分だという。かつては国道10号の橋として活躍したが、今は県道となって地域の生活道路として貢献している。
 県道108号を豊前市方面に進み「、吉富町直江」信号で右折し、次のT字路を左に曲がると佐井川橋【10】に至る。橋長は81m。竣工は大正9年(1920)。
鉄筋コンクリート製桁橋としては初期のものであり、貴重な土木遺産だという。今も現役で活躍中のこの橋は、欄干のユニークな造型と橋脚の連なりが、軽やかでリズミカルな美しい景観を描き出している。

 田川地区の道の駅では、国道201号沿いに電気自動車用の充電施設を完備した「香春」、県道52号沿いに日本一のトイレを目指すという豪華施設を備えた「おうとう桜街道」がある。

豊前地区の道の駅では、国道10号沿いに海鮮料理を味わえる食事処や地元漁協の直営店もある「豊前おこしかけ」、農産物加工場やフードコートが多目的広場を囲む「しんよしとみ」がある。地元の特産物や旬の味覚と出会うのは、何よりの旅の楽しみである。

佐井川橋

【9】佐井川橋

山国橋

【10】山国橋

道の駅地図

土木遺産 in九州のホームページアドレス www.qscpua.or.jp/dobokuisan/


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