一般社団法人 九州地域づくり協会
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第2回 中津市の土木遺産を訪ねて

紅葉の名所「耶馬渓」や史跡「青の洞門」で知られる大分県中津市。
観光資源が豊富なこの地は、近代の貴重な土木遺産が点在するエリアでもある。
渓谷と石橋が織り成す風景を訪ね、先人の技術と豊かな自然に触れた。

 

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 大分県内には500を超える石橋があり、その数は全国トップクラスといわれる。大部分は明治期以降に造られ、高い技術を持った石工たちが各地で活躍した。石橋は現在も、地域の人々の暮らしに欠かせない存在となっている。
 中津市と福岡県の県境を流れる山国川は、「耶馬の三橋」(耶馬渓橋、羅漢寺橋、馬渓橋)と呼ばれる石のアーチ橋を観賞できるスポットだ。中心部のJR中津駅を出発し、上流に向かって車を走らせた。

 2-bridge 最初に姿を現した「耶馬渓橋」は、国内唯一の8連アーチ石造橋。橋の長さも日本一を誇る。100メートルを超える巨大な橋が、木々の緑と水面の青に映えて浮かび上がった。長崎の石橋に多い石積み方式だったためか、地元では「オランダ橋」と呼ばれている。石一つひとつの色や形が微妙に異なり、現代の橋にはない素朴さ、温かさが伝わってくる。
 耶馬渓橋から500メートルほど上った「青の洞門」は、川沿いにそそり立つ競秀峰を、禅海和尚がノミと槌で30年かけて掘り抜いたと伝えられる。改修が繰り返され、明治40年(1907年)にほぼ現在の形になった。このときに拡幅された「素掘トンネル」部分が、近代土木遺産に指定されている。
 さらに上流の「羅漢寺橋」は、橋脚の間が長く、どっしりとした感じの3連アーチ。独特の扁平な形に築く工事は難しく、途中で落下することもあったという。最後に訪れた「馬渓橋」では、背景の紅葉にも目を奪われた。請け負った石工の甲斐伊蔵は、橋脚の基礎工事に潜水夫を雇い、万全を期して臨んだそうだ。3つの橋はすべて大正時代に完成した。今も車両が往来し、当時の建築技術の高さをしっかりと伝えている。

 城下町のたたずまいを残す市の中心部は、歴史探訪のエリアだ。土木遺産を回った後、福沢諭吉が幼少青年期を過ごした旧居や、江戸期の医学関係の資料を展示した医家史料館などに立ち寄った。中津市の郷土料理といえば、代表的なものが鱧。「和風味処・鬼太郎」で、「世界でここだけ」といわれる鱧かつ丼を味わった。「道の駅・耶馬トピア」では、特産の自然薯を使った山かけそば。海の幸にも山の幸にも恵まれた地域であることを実感する。
 大自然と一体化した土木遺産の美に出合い、それを築いた人々や時代に思いを馳せる。こんな楽しみ方があることを、今回の旅が教えてくれた。

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「技術者のこころ」に触れて 大分・福岡の土木遺産写真展

 11月18日の「土木の日」の特別企画展として、「おおいた・ふくおかの土木遺産写真展」(主催・国土交通省山国川河川事務所山国川学習館)が、県境をはさむ中津市と新吉冨町の3会場で開かれた。
 大分県竹田市の白水堰堤、福岡県北九州市の門司港駅舎といった国指定重要文化財を含む56点の貴重な土木遺産を紹介。
 九州地域づくり協会はこれらの展示資料を提供し、開催に協力した。石と水の土木技術が発展した大分。石炭と鉄に関連した土木遺産が目立つ福岡。写真全体を通して地域の特性も読み取ることができ、来場者の関心を集めていた。
 JR中津駅構内での展示では、駅を利用する幅広い年代の人々が足を止め、写真を見学。中津市内に住む70代の女性は、旧耶馬渓鉄道の橋梁を指差し「この鉄道を利用していたので、とても懐かしい」とにっこり。また「身近な場所に、こんなに多くの土木遺産があるとは知らなかった」という意見も多かった。

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~土木遺産写真展の開催について~

 2007年8月、米国ミネソタ州で高速道路橋が崩落した事故については、皆さんのご記憶にも新しいことと思います。日頃、皆が何気なく利用している施設がきちんと維持・管理されることの重要性を改めて思い知らされる出来事でした。我が国でも財政事情の悪化に伴い、施設の維持・管理費も削減されています。
 今年の「土木の日」企画展は、地域に愛されつづける土木遺産を通し、公共的な施設を次代へ引き継ぐために必要な維持・ 管理のあり方、またその費用についても国民の皆さんに考えを深めていただこうと企画しました。
同時に、次の世代のために心血を注いだ先人達の偉業、時を超えて人の暮らしを支えようという「技術者のこころ」を紹介することで土木・建設の業界や事業のイメージアップを、また観光シーズンに開催することで国土交通省の事業の一翼でもある観光事業にも寄与できるようにと開催しました。

 

国土交通省 山国川河川事務所 中津出張所 事務係長 吉田 誠 

 

 

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