FUKUOKA 11
太鼓橋
福岡県北九州市八幡東区大字大蔵
桜に彩られる
極限までに薄い鉄筋コンクリート橋
スリリングな弓なりは
最少の厚さ30cm
太鼓橋は、河内貯水池堰堤から見える、当時日本でも珍しい鉄筋コンクリートのアーチ式歩道橋です。
全長28m、最少の厚さがわずか30cmという薄い構造で、昭和2年(1927)に完成しました。設計者代表として草場助士郎の名が記されています。河内地区の他の橋に比べると実に簡素で、機能主義を貫徹した姿。他の橋梁群が地名を名前に冠していることと比べると、「太鼓橋」という名は、その形状からきていることにも味わい深いものを感じさせます。
春、この繊細な太鼓橋を桜が彩ります。
石造りの近代産業遺産を巡る
河内桜公園散歩
河内貯水池堰堤からの渓谷は「河内桜公園」と名付けられ、公園の中を流れる板櫃川に沿って、1.7キロメートルの桜並木の遊歩道があります。入口には展望デッキ、くだっていくと川に木造の「桜吊り橋」が架かり、渡ると広々とした噴水広場へと出ます。上から見ると「亜」の字に見えるために「亜字池」と呼ばれる池には、石積みの噴水が三基並んでいます。実は昭和2年(1927)に竣工した「河内貯水池」の堰体直下に造られた水質浄化用の池で、水を空気にさらす、いわゆる曝気(ばっき)するための装置でした。
秋、河内桜公園は美しい紅葉に彩られます。
DATA
所在地/福岡県北九州市八幡東区大字大蔵
河内、板櫃川に架かる
完成年/昭和 2年(1927)
設計者/草場 助士郎
<施設の形式・諸元>
RC 床版アーチ(厚さ 30cm)
橋長/ 30m 径間/ 28m