FUKUOKA 21
中津原橋梁
福岡県田川郡香春町大字中津原
ドイツの鉄道技術
豊州鉄道の赤煉瓦橋梁
道と水路を跨いで130 年あまり
現役の3 連アーチ
中津原橋梁は、筑豊地方の運炭鉄道網拡充のために設立された豊州鉄道が、油須原-香春間に建設した橋梁のひとつで、現在は平成筑豊鉄道田川線の勾金駅-上伊田駅間に位置する煉瓦アーチ橋です。水路と道路を跨ぐ橋梁で、明治28 年(1895)に完成しました。
謎だった下駄歯構造
それは将来の複線化のために
香春岳を背景に見ると、煉瓦壁のアーチ部は煉瓦の小口を交互に突出させた四重巻き立ての下駄歯、壁面は水平スリット状です。
この特徴的な凹凸は装飾なのか長い間謎に包まれていましたが、豊州鉄道(現・平成筑豊鉄道)の下駄歯構造の橋梁は、下駄歯はほとんど同じ側に見られ、反対側の面はフラットな煉瓦壁であることから、現在では、将来的な複線化を見据えた構造であると云われています。
豊州鉄道の赤煉瓦橋梁には、九州鉄道の事業のため日本外務大臣とドイツ公使が斡旋し、明治20 年(1887)から3 年の予定で派遣したドイツ人技師ヘルマン・ルムシュッテルと、その指導・助言を受けた九鉄技師長、野辺地久記の技術が生きています。豊州鉄道に招聘された野辺地は、将来、九州鉄道と接続することを見据え、工事方法を九鉄に準拠しました。下駄歯構造も、そのひとつです。
DATA
所在地/福岡県田川郡香春町大字中津原
平成筑豊鉄道 田川線
完成年/明治 28 年(1895)
管理者/平成筑豊鉄道
<施設の形式・諸元>
煉瓦拱渠
橋長/ 10.62m 3 連