FUKUOKA 35
栗木野・第二大行司・宝珠山橋梁
福岡県朝倉郡東峰村
鉄道からBRT へと
近代化産業遺産のバトン
型板の板目跡が残る
無筋コンクリート充腹アーチ橋
宝珠山川と平行に走るJR 日田彦山線の大行司駅から筑前岩屋駅の田園風景の中にある3 つの橋梁群。第二大行司橋梁(松尾のめがね橋)、宝珠山橋梁(奈良尾のめがね橋)、栗木野橋梁(金剛野のめがね橋)と、地元では、「めがね橋」と呼ばれて親しまれています。昭和13 年(1938)に完成した無筋コンクリート充腹アーチ橋です。
無筋であることから強度を高めるために多連のアーチ橋とし、「充腹」とはアーチの上からコンクリートの壁をつくり中に土砂を入れる工法で、上を重量のある列車が走っても振動でクラック(ヒビ)がはいりにくく、また土砂の補充でメンテナンスがしやすい利点があります。空を走るような非電化のディーゼル車両の風景は、季節でライトアップもあり、美しい鉄道橋として全国にも知られていました。
ひこぼしライン、橋梁を走る
鉄道時代の歴史とともに
3ヶ所のうちのひとつ、長さ79.20m、高さ20m を誇る宝珠山橋梁は、「産炭地域の特性に応じた近代技術の導入など九州・山口の石炭産業発展の歩みを物語る近代化産業遺産群」の「筑豊炭田からの石炭輸送・貿易関連遺産」のひとつとして、田川郡赤村の内田三連橋梁などとともに経済産業省の近代化産業遺産に認定されました。
しかし、平成29 年(2017)7 月の九州北部豪雨によって、JR 日田彦山線の添田-夜明間約29km は63 箇所にわたり線路被災が確認され不通となりました。鉄道の全線復旧は困難を極め、彦山駅から宝珠山駅の14km 区間はめがね橋を含めBRT(バス高速輸送システム)でのバス専用道となり「BRT ひこぼしライン」が令和年5 年(2023)8 月28 日に開業しました。その名には、日田「彦」山線の「星」となるようにという願いがこめられています。
DATA
所在地/福岡県朝倉郡東峰村、JR日田彦山線
完成年/昭和 13 年(1938)
管理者/JR九州
文化財指定等/経済産業省近代化産業遺産(宝珠山橋梁)
<施設の形式・諸元>
無筋コンクリート充腹アーチ
【栗木野橋梁】
橋長/ 71.20m 径間/ 14.00m(5 連)
【第二大行司橋梁】
橋長/ 54.90m 径間/ 14.00m(4 連)
【宝珠山橋梁】
橋長/ 79.20m 径間/ 14.00m(5 連)