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FUKUOKA 37

原鶴分水路

福岡県朝倉市杷木(筑後川・分水)

28 水害による治水事業
筑後川三大分水路の一つ

昭和 32 年策定
「筑後川水系治水基本計画」

昭和28 年(1953)6 月、筑後川上流で500mm 以上もの豪雨が容赦なく降り注ぎます。戦後、筑後川の治水を語る上で欠かせない、「昭和28 年水害」。久留米市を始め筑後川流域は、有史以来最悪の水害を経験しました。中流部の夜明地点では、建設中の夜明ダム(重力式コンクリートダム)の両岸が激しい水流によって崩落し、ダム決壊という事態を招きました。
建設省(現・国土交通省九州地方整備局)では、昭和32 年(1957)に「筑後川水系治水基本計画」を策定し、この中で多目的ダムによる洪水調節を図るために筑後川本川(大山川とも呼ばれる流域)に松原ダム、左支津江川に下筌ダムの建設にかかり、昭和48 年(1973)に両ダムは完成しました。

ふだんの分水路の様子

蛇行が多い中流域では
拡幅ではなく流れの分散を

また、河川改修計画の改訂が行なわれ、蛇行が多い中流部においては、河川の拡幅ではなく、洪水時に流れを分散させる人工的水路「分水路」が検討されました。
朝倉市原鶴地区は、改修計画の改訂による計画高水流量 6,200 ㎥ /secに対して川幅が狭く、流下能力は 4,600 ㎥ /sec 程度。検討の結果、水理、施工、工事費、温泉街ということを考慮して分水路となった経緯があります。
昭和36 年(1961)より千年分水路・原鶴分水路・大石分水路の「三大分水路」の建設が着手され、18 年の歳月をかけ、昭和54 年(1979)に完成しました。
原鶴温泉は、治水工事が生んだ中州に位置する温泉街です。とろりとした肌触りが特徴的なpH8.5 以上の弱アルカリ性単純泉と単純硫黄泉の源泉数は34 本、毎分3000Lの温泉湧出量を誇ります。毎年5月~ 9月の期間、鵜飼漁が開催され、筑後川での舟遊びは風流そのものです。

九州北部豪雨から一か月後の原鶴分水路(2017 年 8 月)

DATA

所在地/福岡県朝倉市杷木(筑後川・分水)

完成年/昭和 54 年(1979)6 月

設計者/建設省筑後川工事事務所

管理者/国土交通省筑後川河川事務所