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KAGOSHIMA 17

川原園堰

鹿児島県鹿屋市串良町細山田地内

柴束や菰、共同作業によってできあがる
利水と治水を叶えるやわらかな堰

土台の上に丸太を並べ
柴束を立て掛け菰を敷く

鹿屋市串良町(かのやしくしらちょう)の肝属川(きもつきがわ)水系串良川の川原園堰は、自然の材料を利用した取水施設、堰です。その歴史は古く、寛文10 年(1670)に造られ、時代にあわせて少しづつ形を変えてきました。
ほぼ等間隔のコンクリート土台20 基の間の上流側に、直径15cm のマテバシイの横丸太を一列に置き、マテバシイの柴束(直径約30cm、長さ約1.8m)約150 束を丸太の上流側に密に並べて丸太に立て掛け、その上に菰(こも)を敷き並べ、堰としています。

傍らの石碑

秋には朽ちる柴と菰
洪水時には流れる仕組み

この「柴かけ」の作業は稲作の準備に合わせて毎年3 月に行われ、秋口には役割を終えて、柴も菰も朽ちる仕組みです。さらに、洪水時にはそれらが流されることで氾濫を回避することができます。
堰をつくる作業は全て手作業で、水を利用する地域の人々が共同で作業を行い、採取する里山の保全にも繋がっています。
石やコンクリートの固定堰が近代的な堰に改築される昨今、地元の人々の熱意により今も受け継がれている貴重な土木遺産です。

五穀豊穣の農神、田の神様(たのかんさぁ)

DATA

所在地/鹿児島県鹿屋市串良町細山田地内

一級河川肝属川水系 串良川

完成年/寛文10 年(1670)石造堰築造

明治35 年(1902)改築(記念碑)

施工者・管理者/土地改良区

<施設の形式・諸元>

丸太、菰等の自然材、

コンクリート土台+マテバシイの丸太と柴束

延長/ 43.7m

【串良川有里用水】

延長/ 9.4km

灌漑面積/ 270ha

取水量日量/ 16,000 ㎥