KAGOSHIMA 21
竹下川暗渠
鹿児島県湧水町立野原
明治36 年完成
5 重巻煉瓦のアーチ環をもつ暗渠
高い人工盛土の下を
くり抜いた暗渠
竹下川暗渠は、明治34 年(1901)、鉄道作業局により開通していた鹿児島線の鹿児島 – 隼人間から続く形で工事が始まり、明治36 年(1903)に吉松まで開通した際に、立野原地区の竹下川を跨ぐために造られた暗渠です。
付近の地盤が全体的に低いために機関車の走行をスムーズにするため、極めて高い人工盛土の上に軌道が敷設されました。この盛土の下をくり抜くため、必然的に土被り(どかぶり・トンネルや暗渠のように地中に埋設される構造物の上端から地表面までの土砂や岩盤の厚さ)が厚くなっています。
存在感ある
バランスのよい半円アーチ
背後の山地や田園地域より発生する水量の関係から、暗渠の断面は大きく、沿線にある他の暗渠と同じく半円アーチで、5 重巻煉瓦のアーチ環の存在感があり、バランスが良く、見た目に安心感を与えます。
内部は長手積みの煉瓦で、下部は水圧の影響に配慮した石積みです。一部壁石が迫り出している箇所がありますが、特に大きな損傷もなく、保存状態は良好で、現在に至るまで肥薩線の現役の暗渠として活躍しています。
DATA
所在地/鹿児島県湧水町立野原
JR肥薩線(吉松-栗野間)
完成年/ 1903 年(明治36 年)
管理者/JR九州
<施設の形式・諸元>
煉瓦暗渠
延長/ 30.7m 内幅/ 4.6m(推計)×1 連
煉瓦5 重巻(厚55 ㎝)半円形
内高/ 4.1m