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KAGOSHIMA 23

瀬久谷川暗渠

鹿児島県姶良郡湧水町般若寺地内

120年の時を刻む
肥薩線最大の断面を誇る暗渠

鹿児島-八代間
全線開通の明治42年完成

瀬久谷川暗渠(せくたにかわあんきょ)は、肥薩線沿線で最も断面規模の大きい暗渠です。
明治36年(1903)、鉄道作業局によって鹿児島-吉松まで開通した鹿児島線は、熊本県の八代側からは明治41年(1908)に人吉まで開通します。その翌年の明治42年(1909)に、瀬久谷川を跨ぐために造られ、現在の肥薩線となる、鹿児島本線、鹿児島-八代間が全通しました。
暗渠の形は、竹下川暗渠や後出の山下須屋川暗渠とよく似ています。

傾斜や側壁に見る
洪水時への備え

この暗渠の最大の特徴は、上下流部壁石は鉛直ですが、暗渠が河床勾配に合わせて大きく傾斜していることです。傾斜角度は2.85度、上下流の高低差は1.92m あります。
傾斜させた方が洪水時に有効に機能できると考えられますが、傾けた例は極めて珍しいものです。川床には、会田川暗渠と同じように敷石がされ、側壁も洪水時の水位を予測して、半分を越える高さまで石積みがなされています。令和2年(2020)7月の未曽有の九州豪雨で甚大な被害となり、令和6年(2024)現在も八代-吉松間で不通が続いている肥薩線。そんな中、八代-人吉は、2033年度頃を目指し、鉄路での復旧が合意となりました。
この120年を越える瀬久谷川暗渠や山下須屋川暗渠が含まれる人吉-吉松間は、現在も鹿児島、宮崎、熊本3 県とJR 九州による協議が続いています。

傾斜がついた珍しい構造

DATA

所在地/鹿児島県姶良郡湧水町般若寺地内

JR肥薩線(真幸-吉松間)

完成年/明治42年(1909)

管理者/JR九州

<施設の形式・諸元>

煉瓦拱渠(石ポータル)

延長/ 38.6m 内幅/ 4.58m×1連 内高/ 4.7m

煉瓦5 重巻(厚58 ㎝)半円形