KAGOSHIMA 24
山下須屋川暗渠
鹿児島県姶良郡湧水町般若寺地内
石転がる川を跨ぐ
肥薩線最長59.8m の暗渠
肥薩線の暗渠に共通する
煉瓦のアーチ環
明治36 年(1903)、鉄道作業局によって鹿児島-吉松まで開通した鹿児島線は、熊本県の八代側からは明治41 年(1908)に人吉まで開通します。山下須屋川暗渠は翌年の明治42 年(1909)に造られ、この年、後に肥薩線となる、鹿児島本線、鹿児島-八代間が全通しました。
土被りが厚いため、暗渠の長さは現在の肥薩線の暗渠で最長で、ポータルは肥薩線の暗渠に共通する煉瓦のアーチ環と石積みです。
自然の厳しさを物語る
川床と護岸の石積み
暗渠が跨ぐ山下須屋川の上流域は相当な傾斜地で、上流域河床には巨岩が転々とする風景が広がっています。暗渠内部と上下流部の河床は丹念に敷き詰めた敷石で、両岸も緻密に積まれた石積み護岸です。下流部右岸はコンクリートの補強が施され、幾多の苦難を思わせます。
令和2 年(2020)7月の未曽有の九州豪雨で甚大な被害となり、令和6 年(2024)現在も八代-吉松間で不通が続いている肥薩線。そんな中、八代-人吉は、2033 年度頃を目指し、鉄路での復旧が合意となりました。
この120 年を越える山下須屋川暗渠や瀬久谷川暗渠が含まれる人吉-吉松間は、現在も鹿児島、宮崎、熊本3 県とJR 九州による協議が続いています。
DATA
所在地/鹿児島県姶良郡湧水町般若寺地内
JR肥薩線(真幸-吉松間)
完成年/明治42 年(1909)
管理者/JR九州
<施設の形式・諸元>
煉瓦拱渠(石ポータル)
煉瓦4 重巻(厚47 ㎝)半円形
延長/ 59.8m 内幅/ 3.66m×1 連 内高/ 3.5m