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KAGOSHIMA 04

大田発電所 轟(導水)隧道

鹿児島県日置市伊集院町大田

島津家と神岡鉱山へと送電した
近代化を支えた水力発電所

島津家の
自家用発電所として

大田発電所(旧島津発電所)は、明治37 年(1904)に神之川の水利用許可を受け、明治41 年(1908)に島津家の自家用発電所として運転を開始。14km 離れた串木野の神岡鉱山(金山)に電気を供給し、精錬所の動力や電灯に利用され、近代化が図られました。
昭和3 年(1928)には日本水電、17 年(1972)には九州配電、そして26 年(1951)からは九州電力が引継ぎ、現在も伊集院町周辺に電力を供給しています。大田ダムより取水した発電用の水は、水路や2 つの沈砂池を経て、轟隧道へ。そこから20m の落差の導水管によって発電施設へと至ります。

貯水池に水を引く堰と取水施設

今も残る
丸に十の字の紋

発電所の建屋は一隅に六角形の塔が付随した石造りで、切妻部分に取り付けられた丸に十の字の「くつわ紋」が島津家とのかかわりを示しています。
轟隧道の出入口の壁面は切石積みで、石造アーチトンネルの一部が顔を出しています。石造り平屋の壁面の両側には壁柱、上部には笠石が配置され、アーチの上には石造の扁額も残されており、「轟隧道」の文字が見てとれます。
こちらもくつわ紋が彫られ、発電という近代化にいち早く取り組んだ島津家の歴史を今に伝えています。

轟隧道

DATA

所在地/鹿児島県日置市伊集院町大田

完成年/明治 41 年(1908)

管理者/九州電力

文化財指定等/土木学会選奨土木遺産(轟隧道)

<施設の形式・諸元>

水路トンネル(石ポータル)

延長/ 44.9m