
KUMAMOTO 10
湯町橋
山鹿市杉 日輪時
歴代藩主から庇護された名刹
日輪寺で時を刻む石橋

河川改修で高台へ移設
アーチ下から見る要石
湯町橋(ゆまちばし)は、かつては豊前街道が吉田川を渡る山鹿口に架けられていた石橋で、昭和49年(1974)、河川改修の際に山鹿市杉にある名刹、日輪寺の高台に移設されました。
2連アーチの石橋で、幅は4.8m、アーチ径間はそれぞれ7.02mと7.1mあり、橋の下から環石(わいし・アーチを構成する石)を観察することができます。要石(アーチの頂上の石)には、文化11年(1814)に完成し、鍋田村(現・山鹿市鍋田)の石工、吉兵衛らにより造られたと、銘文が刻まれています。

要石に刻まれた銘文
歴代領主の庇護を受けた日輪寺
桜とツツジと石橋
石は鍋田で採れる阿蘇溶結凝灰岩を使用しており、地元の石工が、地元の石材を利用して架けた橋であることがわかります。
日輪寺は、菊池武時、加藤清正、細川忠利ら歴代の領主より手厚く庇護(ひご)された名刹(めいさつ)です。肥後三大銘鐘のひとつに数えられる楼門の鐘があり、忠臣蔵で知られる赤穂義士のうち細川藩に預けたという大石内蔵助をはじめとする十七士の遺髪を納めた遺髪塔があり、毎年2月4日の義士命日には「義士まつり」が開催されます。
春、3月下旬になると境内には約200本の桜が咲き誇り、湯町橋を彩ります。4月になると約3万5千株咲くツツジ庭園へと花のリレーは続き、渡りゆく人びとを魅了しています。

DATA
所在地/山鹿市杉 日輪時
完成年/文化11年(1814)
設計者/石工 吉兵衛ら(鍋田村(現・山鹿市鍋田))
施工者/石工 吉兵衛ら(鍋田村(現・山鹿市鍋田))
管理者/山鹿市
文化財指定等/熊本県指定有形文化財
<施設の形式・諸元>
二連アーチの石橋
橋長/17.7m
幅員/4.80m
アーチ支間/7.00m
