KUMAMOTO 13
幸野川橋梁
熊本県阿蘇郡小国町大字北里字西村
竹筋橋と云われる
充腹式コンクリート造アーチ橋
廃線となった宮原線で
最大のアーチ直径
幸野川橋梁は、福岡県久留米と大分を繋ぐJR 久大本線から分岐した、廃線宮原線にある6連の充腹式コンクリート造アーチ橋です。
連続するアーチが美しく、高さがあることもあり、独特の表情を見せます。農村風景と美林が連続する小国らしい風景の中にこつ然と現れる灰色のアーチ橋は、中央の4つが直径20mの半円を描き、両側の直径は10mで、樅木川(もみきがわ)の清流や道路、水田を軽快に跨いでいます。
昭和モダンなモチーフと
竹筋の共通性があるもうひとつの橋梁
アーチ直径の大きさでは線区でも最大で、そこから覗く周辺の緑とマッチして独特の景観を作りあげています。アーチ間の壁に小アーチを連続させ、「透かし」のようなデザイン。強度や工法上の機能とは別に、農村を貫く構造物に美観を持たせるためのデザインか、見る者を飽きさせません。
なお、昭和14年(1939)当時は戦争準備の供出のために極端な鉄不足で、コンクリートの中に鉄筋を入れる代わりに竹を入れたと伝えられ、「竹筋橋」とも云われている橋です。竹筋と昭和モダンも感じられるモチーフは、昭和17年(1942)完成の、長崎県佐世保市吉井町にある福井川橋梁と、デザイン、竹筋ともに共通性がみられます。
DATA
所在地/熊本県阿蘇郡小国町大字北里字西村
(廃)宮原線、縦木川
完成年/昭和 14年(1939)
設計者/鉄道省熊本建設事務所
文化財指定等/国登録有形文化財
<施設の形式・諸元>
コンクリート中開アーチ橋
橋長/ 112.0m、単線
径間/ 20.0m(4連)、10.0m(2連)