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KUMAMOTO 17

立野橋梁

熊本県南阿蘇村大字立野

八幡製鐵所製の鋼脚
九州の鉄の歴史が刻まれた橋梁

立野渓谷にしっかりと立つ
九州唯一のトレッスル

大正13年(1924)竣工の立野橋梁は、熊本県南阿蘇村を走る南阿蘇鉄道、立野-長陽駅間に位置する鉄道橋です。構造は、白川水系立野川に架かる鋼プレートガーダー上路橋で、トレッスル(末広がりのやぐらのような橋脚)を持つ橋です。この形式の橋は、九州では唯一で、全国的にも珍しいものです。
立野駅を出て約500m、さらに1km 先の第一白川橋梁のつゆ払いを務める橋です。実際に、第一白川橋梁の建設のための600tを越える材料と、架設機材を運んだ際に利用されました。

3基のトレッスル脚(熊本地震前)

平成28年4月
最大M7.3の熊本地震発生

橋脚は、厳しい斜面を抱き込むように立てられています。ほぼ往時の姿のままの鋼材には、八幡製鐵所の文字がローマ字で刻まれていました。トレッスル橋脚は3基。残りの橋脚はコンクリート製で、起伏が激しいために谷の深い部分だけに鋼脚を採用したことがわかります。
しかし、平成28年(2016)4月14日21時26分、熊本地方を震源とするマグニチュード6.5の熊本地震が発生します。16日にはマグニチュード7.3の本震にみまわれ、各地未曽有の被害となりました。南阿蘇鉄道も全線運転見合わせとなり、中松-高森間の7.1km は運転開始したものの、白川第一橋梁やトンネルが甚大な被害を受けた立野-中松駅間10.6km は不通を余儀なくされました。

「おかえり南阿蘇鉄道」
7年ぶりの全線運転再開の日

南阿蘇鉄道は東日本大震災による被災から復旧を果たした三陸鉄道にならい、国、自治体と協議を重ね、鉄道復旧が始まります。九州の鉄の歴史が刻まれた立野橋梁は、橋脚基部などは破損したものの、補修と補強によって今後の災害にも耐えられることがわかりました。
令和5年(2023)7月15日、全線運転再開の日、「おかえり南阿蘇鉄道」の横断幕とともに、沿線は喜びに包まれました。7年3ヶ月ぶりに復活した南阿蘇鉄道の復活の象徴として、立野橋梁は100年の歴史を歩み続けています。

全線運転再開後の立野橋梁を走るトロッコ列車

DATA

所在地/熊本県南阿蘇村大字立野

南阿蘇鉄道 白川水系立野川

完成年/昭和3年(1928)

設計者/鉄道省大臣官房研究所

施工者/鉄道省(直轄施工)

横河橋梁製作所 大阪工場(大正14年)

鋼材/八幡製鉄所

管理者/南阿蘇鉄道

<施設の形式・諸元>

鋼プレートガーダー上路橋、鋼トレッスル橋脚

橋長/ 136.8m 径間/ 25.73m(7連)