KUMAMOTO 22
桑鶴の轡塘
城南町、嘉島町 緑川、御船川
土木の神様 加藤清正の
洪水を軽減する伝統的河川工法
緑川と御船川の合流部に
大規模に残る轡塘
轡塘(くつわども)は、土木の神様と称された加藤清正が多用した肥後の伝統的河川工法のひとつ、河川の合流地点や水あたりの激しい部分に作られた洪水を軽減する装置で、河道内遊水装置としての役割も果たしています。
桑鶴(くわづる)の轡塘は、緑川と御船川の合流部に築造されたもので、各地の轡塘の中でも規模が大きく、本塘と平行した遊水地をもっています。
出水時は水を蓄える遊水池
平常時は水田として利用
通常時は河川は本塘の中を流れていますが、水かさが増した時には遊水池が水を蓄え、周辺への出水を押さえます。遊水池内には肥沃な土壌が流れ込むため、平常時には生産力の高い水田として利用され、生物の生息に良好な環境となっていました。
熊本県内では、菊池川や他の河川にも築造されていましたが、現在では大半が消失しています。比較的保存状態が良いものに桑鶴の轡塘や浜戸川島田地先の轡塘があり、河川工学上からも貴重な遺構として評価されています。
DATA
所在地/熊本県下益城郡城南町、嘉島町、緑川、御船川
完成年/慶長年間(1596 ~ 1615)
設計者・施工者/加藤清正
管理者/国土交通省
<施設の形式・諸元>
堤防