KUMAMOTO 25
下鶴橋
熊本県御船町大字滝尾字下鶴
橋本勘五郎が息子弥熊に
初めて棟梁を任せた記念の橋
橋本勘五郎父子による
明治の石橋
下鶴橋は、熊本県御船町の八勢川に架かる石橋です。名工橋本勘五郎、弥熊父子によって明治15年(1882)から明治19年(1886)まで満4年間を費やして架設されました。
橋の基礎部分は、通潤橋でも組まれた熊本城の鞘石垣を応用しています。
橋の長さは十三間、幅は三間半、総工費2,538 円31銭厘を要したとあり、丸みを帯びた欄干と擬宝珠柱は見事な石造りで、140年あまりたった今も、美しい姿を誇っています。
とっくりと盃の形を抜いた
親柱の遊び心
以来、熊本から矢部(現・山都町)や宮崎県に通じる主要道路の交通橋として、大いに産業の振興に役立ってきました。しかし、交通量の激増により役目を終え、隣接して新橋が架設された今は歩道橋となっています。
この橋は、勘五郎が代を譲り、弥熊が棟梁として初めて架けた眼鏡橋として、その名を知られています。酒好きだった弥熊がとっくりと盃の形を抜いた親柱は、他の橋にはなかなか見られない遊び心です。
勘五郎が息子にその代を譲った、記念すべき橋。弥熊は、下鶴橋のたもとで一人の娘と出会い、この橋の見える地で幸せに暮らしたと言い伝えられています。
DATA
所在地/熊本県御船町大字滝尾字下鶴町道、八勢川
完成年/明治 19年(1886)
施工者/石工 橋本勘五郎・橋本弥熊
管理者/熊本県、御船町
文化財指定等/御船町指定文化財
<施設の形式・諸元>
石アーチ(凝灰岩)
橋長/ 71.0m 橋幅/ 5.3m
径間/ 27.3m 拱矢/ 9.0m