KUMAMOTO 35
郡築三番町樋門
熊本県八代市郡築三番町字参番割
明治の干拓史を代表する
堂々たる10 連アーチの石造樋門
10連アーチで
天端幅約 33mの風格
八代市海岸域にある郡築干拓は、当時の八代郡において明治32年(1899)に着手され、明治38年(1905)に完成した干拓です。国や県ではなく、郡が建築主体として築かれたので、その名があります。
郡築干拓における明治期の干拓樋門としては、明治34年(1901)に造られた甲、乙、丙の3ヶ所がありましたが、甲の三番町樋門だけが現存しています。堂々たる10連アーチで天端幅約33m、高さ5.5mの石造。樋門の海側には南北約1km にわたり石積潮受堤防も残っています。
アーチ内部は赤煉瓦
全国的にも珍しい角落し
郡築干拓の設計は当時熊本県技師であった川口虎雄で、工事請負人は愛知県の棟梁、服部長七です。三番町樋門の施工は、熊本石材会社で、当時の金額で12,590 円の費用をかけて築造されています。
アーチ部分には赤煉瓦を使用し、躯体部分は砂岩切石積で、隔壁内部には、招き戸が閉まらない非常時のために、角落し(両側の柱に縦溝を刻み、角材を積み重ねてはめ込み堰とするもの)の溝を設けてあります。このような樋門は全国にも殆ど例がなく、築造当時の姿のまま、明治期のモダンな建築物を彷彿とさせる構造物です。
DATA
所在地/熊本県八代市郡築三番町字参番割 市道、水門
完成年/明治 33年(1900)
設計者/川口虎雄
施工者/服部長七
管理者/八代市
文化財指定等/国指定重要文化財
<施設の形式・諸元>
石造アーチ式 10連樋門
天端幅/ 33.09m 幅/ 8.3m