KUMAMOTO 41
(旧)佐敷隧道
熊本県葦北郡芦北町海浦~葦北郡芦北町白岩日添
南九州の交通の難所に造られた
外国人技師設計のトンネル
南九州の交通の難所
三太郎峠のひとつ
旧佐敷隧道は、八代市と水俣市のほぼ中央に位置し、九州西部を縦断する旧国道3号、佐敷太郎峠に掘られた煉瓦造隧道で田浦町と芦北町を結んでいます。
八代市と水俣市の間にそびえる三つの峠は、三太郎峠(赤松太郎、佐敷太郎、津奈木太郎)とよばれ、南九州の交通の要衝であるとともに難所でもありました。この解消のため、明治34年(1901)に津奈木隧道が、2年後に佐敷隧道が開通しました。両トンネルとも外国人の技師が設計し、日清戦争の賠償金をもとに建設されたといわれています。
明治期の大規模な隧道の
特徴を伝える壁面
佐敷隧道は、全長433.5m、幅員5.5m、中央高4.4m で当時は国内で6番目、九州では2番目の長さを有し、歴史的な面からも重要な道路トンネルと言えます。隧道の坑口は、半円アーチ状を有し、アーチの両側には石のピラスターと呼ばれる付柱の装飾、帯石、そして煉瓦ポータルが施工され、上部には梁を有する冠木門型で構成されています。煉瓦の積み方は、フランス積を採用。隧道内部のアーチ部は煉瓦の長手積、側壁部はイギリス積を採用しています。
このような壁面を持つ隧道は、明治期に建造されかつ規模の大きな隧道に限られる貴重なもので、当時の姿を今に伝えています。
DATA
所在地/熊本県葦北郡芦北町海浦~葦北郡芦北町白岩日添
完成年/ 1903年(明治 36年)
管理者/芦北町
文化財指定等/国登録有形文化財
<施設の形式・諸元>
煉瓦トンネル(煉瓦+石ポータル)
延長/ 433.5m
幅員/ 5.5m
中央高/ 4.4m