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KUMAMOTO 42

(旧)津奈木隧道

熊本県葦北郡芦北町 ~ 津奈木町

津奈木太郎峠を貫通した
国道 3 号のトンネル

佐敷隧道との共通性と
坑口のかたちの違い

八代市と水俣市の間にそびえる三つの峠は、三太郎峠(赤松太郎、佐敷太郎、津奈木太郎)とよばれ、交通の要衝であるとともに難所でもありました。この解消のため、明治34 年(1901)、津奈木太郎峠に隧道が造られました。
外国人の技師が設計し、坑口左右には、石ピラスター(付柱)と帯石、そして煉瓦ポータルが施工されています。笠石、帯石、門柱、リングアーチに至るその全てが石造りです。煉瓦の積み方は、フランス積を採用し、隧道内部のアーチ部は、煉瓦の長手積、側壁部は、イギリス積を採用し、2 年後に完成した佐敷隧道との共通性がありますが、坑口については旧佐敷隧道とは異なり馬蹄形です。

迫石と内部の煉瓦

明治期の国道に対する
丁寧な造り込み

丁寧な造り込みは、当時、既に日本の根幹を成す重要な路線という位置付けで、大動脈の流れを止めてはならないという使命感によるものであろうと想像されます。普通車同士の内部離合が可能な幅員5.5m が確保されていることは、その後の自動車時代に対応させるという先見の明があったといえます。
昭和40 年(1965)に、国道改築によって521.5m の津奈木トンネルが完成し、国道の役目を終えて町道となりました。佐敷隧道とともに、国登録の有形文化財に指定されています。

国登録有形文化財の銘板

DATA

所在地/旧津奈木隧道/熊本県葦北郡芦北町大字大川内字倉谷平 ~

津奈木町大字津奈木字引川内

完成年/津奈木隧道/明治 34 年(1901)

文化財指定等/国登録有形文化財

<施設の形式・諸元>

煉瓦トンネル(煉瓦 + 石ポータル)

延長/ 211.6m

幅員/ 5.5m