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KUMAMOTO 45

第二球磨川橋梁

熊本県球磨郡球磨村(JR肥薩線、球磨川)

球磨村に解体保管され眠る
ピン結合方式のトラス橋

川底から引き上げられた
第二球磨川橋梁が繋ぐ歴史

第二球磨川橋梁は、球磨川により添うように走るJR 肥薩線の鉄道橋です。
JR 肥薩線は、八代市から人吉市、鹿児島、宮崎へと通じる鉄道ですが、球磨川を4 回横断し、その橋梁のひとつが第二球磨川橋梁です。
明治41 年(1908)に竣工以来、幾多の災害を乗り越えて来た橋梁でしたが、令和2 年(2020)7 月の熊本豪雨で、そのほとんどが流失しました。
令和3 年(2021)、球磨村は第二球磨川橋梁の骨組みをJR から無償で譲り受け、川底から引き上げました。部材ごとに解体して保管し、その歴史と復旧への希望を繋いでいます。

斜めに架かる橋梁

橋脚上の連結部に
60 度の斜角がついたトランケート式

第二球磨川橋梁は、架設当時のまま、複数の小断面部材を組み合わせて1 本の部材が構成されており、トラス節点には架設された当時のピン結合がそのまま残っていました。九州の鉄道網整備には、ドイツ人技師ヘルマン・ルムシュッテルの指導によるドイツの技術が採用され、そのため九州の鉄道はドイツ方式だといわれています。しかし、後年になって官設で整備された八代以南の路線では、アメリカの技術が多用されることになります。クーパーとシュナイダー設計の斜角付きピン結合トラス、アメリカンブリッジ製で、銘板に工場名のEdge Moor Worksと刻まれていました。
ピン結合方式のトラス橋で、トランケート(切り詰め)式と呼ばれ、川に対して斜角がついていて、斜めに川を渡っています。当時は、この方式が各地で採用されました。中でもこの橋は橋脚上の連結部に60 度の斜角がついたトランケート式で、第一球磨川橋梁とともに現存していた最後の2 橋でした。
過去にない規模の被害に、JR 肥薩線は、現在も八代-吉松(鹿児島県湧水町)間の約87km で運休し、令和6 年現在、国と県、JR 九州の3 者で検討会議が続いています。

被災前の球磨川第二橋梁

DATA

所在地/熊本県球磨郡球磨村大字三ケ浦 -渡

JR 肥薩線、那良口駅渡駅、球磨川

完成年/明治 41 年(1908)

設計者/クーパー、シュナイダー

施工者/鉄道省(直轄施工)

管理者/JR九州

文化財指定等/経済産業省近代化産業遺産

<施設の形式・諸元>

曲弦プラットトラス(ピン結合 )+上路プレートガーダー

下部工(橋台・橋脚) 煉瓦、切石積橋長/ 179m、単線

径間/ 2×62.70m+2×25.4m(4 連)