KUMAMOTO 05
明豊開(旧)堤防、大豊開(旧)堤防
熊本県玉名市横島町
末広開堤防、明丑開堤防とともに
近代を代表する干拓潮受堤防
国営横島干拓の潮止工事完了まで
第一線の堤防として
明豊開(旧)堤防は明治26年(1893)に、また、大豊開(旧)堤防は、明治35年(1902)に複数の大地主の共同によって行われた干拓事業によって造られました。
大正3年(1914)、 昭和2年(1927)の潮害で堤防決壊の被害を受けながらも、昭和4年(1929)に改修され、昭和42年(1967)の国営横島干拓事業の潮止工事完了まで、一線の堤防として横島町の耕地を守ってきました。高さ5 ~ 6mの堤防が2.4km 続き、末広開(旧)堤防、明丑開(旧)堤防とあわせ、その総延長は約5.2kmにも及びます。
保存状態の良さは
幾多の潮害による補修のため
干拓地の地先に新たな干拓地がつくられると、古い堤防の石垣が新しい堤防の資材として使うために壊されることもありますが、これら4つの堤防は、潮害などの非常時には潮受堤防の役割を担うため、重要視されていました。
そのため、復旧と改修の中で保存状態が良く、全体の干拓の規模と様子がよくわかります。その高さを見上げる時、機械もない時代、やわらかい潟の中に人力で石を積みあげ築いた堤防工事の困難に思い至ります。
まっすぐに走る堤防沿いに広がる両側の豊かな農地が、かつては海であったことを伝える明豊開(旧)堤防と大豊開(旧)堤防の風景です。
DATA
所在地/熊本県玉名市横島町
完成年/【明豊】明治 26年(1893)再築
【大豊】明治 35年(1902)再築 → 昭和 4年(1929)改修
文化財指定等/国指定重要文化財(建造物)
<施設の形式・諸元>
石堤防(コンクリートと混在)
延長/約 2.4km 高さ/ 5 ~ 6m