
KUMAMOTO 09
菊池川橋梁
山鹿市鹿本町梶屋 旧鹿本鉄道菊池川橋梁
ヘルマン・ルムシュッテル設計
かつて9連だった九州初の鉄道トラス橋

筑後川に架けられた
かつての千歳川鉄橋
山鹿市鹿本町の道の駅、水辺プラザ鹿本(かもと)にある菊池川橋梁は、九州初の鉄道用トラス橋で、一世紀以上に渡る歴史を刻んでいます。
この橋梁の前身は、明治22年(1889)、九州で最初に鉄道を走らせた九州鉄道(博多-久留米間)が、その翌年に千歳川(現・筑後川)に架橋したドイツ製ポニープラットトラス工法による九州初の鉄橋、千歳川鉄橋です。明治23年(1948)に九州初の9連の壮大な鉄橋として完成しました。設計は、明治20年(1887)ドイツから招聘され、後に九州鉄道の技師長となったヘルマン・ルムシュッテルです。
大正期に入ると機関車の大型化により役目を終えようとしていましたが、当時、民営で開業を目指していた鹿本鉄道に、菊池川を渡る橋梁として9連のうち4連が大正9年(1920)に再利用されました。

九州鉄道最初のトラス
奇跡の連続で解体を免れ
水辺プラザ鹿本へ
しかし鹿本鉄道(昭和27年(1952)に山鹿温泉鉄道へ社名変更)は、昭和28年(1953)と32年(1957)に九州地方を襲った大水害により甚大な被害を受け、復旧費用の捻出やバスとの競合などで経営が悪化し、復旧を見ないまま昭和40年(1965)、50年の歴史に幕を閉じました。
その後、昭和58年(1983)に鉄道廃線跡が自転車道に再利用されるのにともなって一時撤去されましたが、その一部(32m中24m)が、植木町の宮原駅跡に記念として保存されることになりました。さらに、平成14年(2002)に、鉄橋を所有者していた企業により鹿本町に寄贈され、移転されました。
奇跡の連続で解体を免れた九州最古の鉄道鉄橋は、水辺プラザ鹿本にあり。歩いて渡ることができる鉄道遺産です。

DATA
所在地/山鹿市鹿本町梶屋
旧鹿本鉄道菊池川橋梁
完成年/明治23年(1890)
設計者/大分県土木技手(技師)小野安夫
(ドイツ人技師 ヘルマン・ルムシュッテル)
施工者/九州鉄道
管理者/山鹿市
<施設の形式・諸元>
ウニオン製
下路平行弦ポニープラットトラス(ピントラス)
橋長/22.4m 1連(32.0mを短縮保存)
