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MIYAZAKI 17

花峯橋

宮崎県日南市園田3丁目

戦前の新興木構造を物語る
木造方杖形式の道路橋

弁甲材として
高い評価を得た飫肥杉

花峯橋は、昭和4 年(1929)の油津岩崎と東郷間の県道工事に伴い、堀川運河、乙姫橋の上流に架けられました。現存する数少ない木造方杖形式の道路橋です。
上流の飫肥(おび)地方は400 年ほど前から植林がされてきた杉の山地として知られ、「飫肥杉」は、油分が多く軽く柔らかい特徴を持っています。そのため、浮力が大きく水切り良く、耐久性があることから木造船の材料、「弁甲材」として国内外に出荷する産地に発展しました。
花峯橋から水門までの堀川河岸は、かつて弁甲材の貯木場でした。

通行止め前の路面

木 + 金物
鉄不足から発展した構造

石造りのアーチ橋である堀川橋とはまた対照的な雰囲気で、橋台は石造布積、二基のコンクリート造橋脚基礎から、側面から見てほぼ45 度の傾きで木造橋脚が左右に広がり主桁を支えています。
花峯橋は、仕口(建築や家具において2 つ以上の部材の接合部)などの加工に伝統的な木材の技術が見られるのと同時に、ボルトやかすがい金属などの工法も併用されています。この構造は、昭和初期に発展した「新興木構造」(鉄材不足を補うために従来の伝統的な木造構造を、力学や科学の観点から見直して木材の活用を図った新たな木造構造)の橋としても位置づけられていますが、現在は痛みのため通行止めに。木造橋の歴史上でも重要な橋、油地地域の補修が検討されています。
飫肥杉の歴史と堀川運河に弁甲材が浮かんでいた風景に思いを馳せる橋です。

木造方杖形式の橋脚

DATA

所在地/宮崎県日南市園田 3 丁目

完成年/建設:昭和 4 年(1929)

改造:昭和 25 年(1950)

管理者/日南市

文化財指定等/国登録有形文化財

<施設の形式・諸元>

木造方杖橋

橋長/ 27.0m 幅員/ 6.1m 径間/ 9.0m