
MIYAZAKI 19
堀川橋
宮崎県日南市油津
吾平津神社参道の
堀川運河を象徴する石橋

明治36年完成の
悲願の永久橋
堀川橋は、飫肥杉を効率よく運ぶため、第5代飫肥藩主伊東祐実(すけざね)の命により、貞亨3年(1686)に開削された堀川運河に架かる石橋です。それまでは油津板橋と呼ばれる木橋がありましたが、一度風雨で流されると旧油津地区が陸の孤島となることから、永久橋は地元の悲願でした。明治36年(1903)8月、4年の歳月をかけ、飫肥の石工、石井文吉により1連アーチの石橋が完成しました。
神武天皇の妃、吾平津毘売命(アヒラツヒメノミコト)を祀る吾平津神社へお参りするときに渡る参道として、欄干がその風情を醸し出しています。吾平津神社が乙姫神社とも呼ばれたことから、別名「乙姫橋」と呼び親しまれてきました。

吾平津神社(乙姫神社)へ初詣
水と筏と 堀川橋の
石の手すりは 見て暮らす
明治以降は焼玉エンジンのポンポン船に引かれた筏が堀川橋の下をくぐって油津港に向かう風景がありました。橋の下を船が通れるよう、両岸の路面を3m近く嵩上げしてアーチを高くしてあるため、そのたもとには今も2階が玄関という家があります。
平成4年には、渥美清主演の映画寅さんシリーズ「男はつらいよ~寅次郎の青春」が、この堀川橋を中心に撮影されました。その少し上流には、飫肥と油津を訪れた、『シャボン玉』の童謡で知られる詩人野口雨情が油津を訪れた際に詠んだ、「水と筏と 堀川橋の 石の手すりは 見て暮らす」の、弁甲筏流しの情景広がる歌碑があります。

DATA
所在地/宮崎県日南市油津
完成年/明治36年(1903)
施工者/石工 石井文吉
文化財指定等/国登録有形文化財
<施設の形式・諸元>
石造単アーチ橋
橋長/21.0m 幅員/5.65m
