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MIYAZAKI 20

細島験潮場

宮崎県日向市細島町伊勢

毎日の潮位を記録する
現役で日本最古の建造物

海虫による基礎の浸食
完成翌年に崩壊

日本における潮位測量は、明治5 年(1872)にオランダ人技士リンドウの指導により、利根川河口の銚子に「量水標」を設けたのが始まりとされています。主要河川の河口に設けられ、目視によって干満潮位を観測していました。その後、明治21 年(1888)、陸軍省参謀本部に陸地測量部が設置され、国土の測量が開始されると同時に各測点が設けられました。
細島験潮場は、明治25 年(1892)6 月15 日に、「陸軍省参謀本部陸地測量部細島験潮場」として竣工しました。しかし、建屋の海底基礎部分は、当初木材を使用していたため、海虫に浸食され、翌年1 月に崩壊し、験潮の中断を余儀なくされました。
改築工事は8 月に完了し、今に至ります。現在は煉瓦造桟瓦葺で、現在外壁はモルタル金鏝(かなごて)仕上げですが昭和初期には漆喰仕上げだった記録が残っており、現役の験潮場では、最も古い建造物となります。

潮位観測が担う
海溝型巨大地震予測

陸地測量部は、験潮場設置と同時に各験潮場に「監守(昭和21 年より看守」」をおき、その監守は日々計測・巡視を遂行する必要があることから、開設当初は細島町助役、明治30 年(1897)に桑野卯吉氏が青森県岩崎験潮場から転勤を命じられて着任し、その後は桑野家代々の人々が平成22 年(2010)6 月に至るまで、1 年365 日、休日も災害時も休むことなく、午前8 時と午後4 時の2 回の記録と毎月1 日の報告を務めました。現在では、G.S.A.T と呼ばれる験潮儀によって自動的に潮位が記録され、茨城県つくば市にある国土地理院へ送信されています。
土地の高さの基準を与え、津波や高潮などによる変化を測定する験潮場。海溝型巨大地震と長期的な地殻の変動を予測する上でも、潮位観測は、非常に重要な役割を担っています。

細島灯台が位置する日向岬と験潮場(右奥港の入口角)

DATA

所在地/宮崎県日向市細島町伊勢

完成年/明治 25 年(1892)設置

明治 26 年(1893)改築工事終了

明治 27 年(1894)測定再開

管理者/国土交通省国土地理院

文化財指定等/推薦土木遺産(土木学会) 国登録有形文化財(建造物)

<施設の形式・諸元>

煉瓦造桟瓦葺 外壁はモルタル金鏝仕上げ

占有面積/ 16.0 ㎡ 建物面積/ 6.1 ㎡

観測基準面定数/ 5.000m 固定点の標高/ 2.728m

(国土地理院資料)