MIYAZAKI 02
第三五ヶ瀬川橋梁
宮崎県日之影町
2 つの構造が調和する橋梁
遊歩道として蘇った廃線遺構
鋼材の使用が制限されていた
時代を映す橋梁
第三五ヶ瀬川橋梁は、高千穂峡へと続く渓谷の入口に架かる、現在は廃線となった国鉄日之影線(後に高千穂鉄道)の橋です。
延岡市を出発すると、五ヶ瀬川や多くの支川と交差し、また、数多くのトンネルや橋梁を通過していた高千穂鉄道。11 連のコンクリート桁橋と鋼トラス及び8 連の方杖形(ほうづえがた)のラーメンからなる橋梁で、完成は昭和14 年(1939)。鉄道橋としての鉄筋コンクリート造の方杖ラーメン橋は、戦前ではただ一つの珍しい構造です。
ダムの水面に映えるトラスの赤色と新緑のコントラストは清流と調和し、槇峰駅近くの綱ノ瀬川橋梁とともに、宮崎・橋の日実行委員会が選定した宮崎の橋101 選にも選ばれています。
森林セラピーロードとして
歩いて渡る廃線遺構へ
平成15 年(2003)3 月に登場した「トロッコ神楽号」は、車両の正面に神楽をイメージした小さな面が付けられ、休日には多くの観光客を乗せ、ゆっくりと走っていましたが、平成17 年(2005)の台風14 号により、川水流~上崎間、亀ヶ崎~槙峰間の鉄橋が橋脚ごと流失。平成20 年(2008)12 月、高千穂鉄道はその歴史に幕を下ろしますが「鋼材使用が制限される中、鉄道省が最先端の技術を駆使して完成したもので近代コンクリート構造物 の技術的到達点の一つを示す」として、令和2 年(2020)12 月23 日、綱ノ瀬川橋梁とともに宮崎県初の近代化遺産として国の重要文化財に指定されました。
現在は、日之影町が高千穂鉄道から無償譲渡された吾味駅-日向八戸駅-八戸観音滝間を「森林セラピーロード」として遊歩道整備し、「TR 鉄道跡地散策コース」で、歩いて渡ることができる貴重な廃線遺構として親しまれています。
DATA
所在地/宮崎県日之影町(五ヶ瀬川)
旧高千穂鉄道(廃線) 日向八戸-吾味間
完成年/昭和 14 年(1939)
設計者/熊本建設事務所 設計:椋本修造
施工者/鉄道省(直轄施工)
管理者/日之影町
文化財指定等/国指定重要文化財 宮崎の橋 101 選
<施設の形式・諸元>
鋼上路ワーレントラス、及び RC 方杖ラーメン
橋長/ 274.8m 線数/ 単線
径間/トラス46.8m、ラーメン17.2m(19 連)
下部工(橋台・橋脚)/鉄筋コンクリート