MIYAZAKI 08
本谷昭和橋
宮崎県日向市富高
三五郎の技が垣間見える
日向市に唯一残る石橋
細くて薄い
秀麗な3 連アーチの石橋
日向市街地を東西に流れる富高川(とみたかがわ)に架かる本谷昭和橋(ほんたにしょうわばし)は、その名の通り、本谷集落に昭和時代に架けられた石橋です。水量もさほど多くはなく川幅もそう広くない川ながら、3 連アーチとなっています。
アーチを支える橋脚は細く秀麗です。橋面を低く保ち、偏平なアーチとなって厚みが出ぬよう、わざわざ3 連にしたものと推測されます。要石の上はすぐ橋面となって薄いことも特徴です。
アーチの2 重の石積みは
名工岩永三五郎の技術の影響
石工は門川町小園の小山宇太郎で、鹿児島県川内で修行したと言われています。石は地元の門川石(阿蘇溶結凝灰岩)が使われています。
アーチ部分の石積みが2 重になっている優美な意匠は、薩摩藩の事業で西田橋などを架けた熊本の種山石工の岩永三五郎の技術の影響と云われています。
地域の人びとも大勢架橋に加わった歴史とともに地域のシンボルとして親しまれ、日向市に唯一残る石橋となっています。
DATA
所在地/宮崎県日向市富高
完成年/昭和 2 年(1927)
施工者/石工 小山宇太郎
文化財指定等/市指定有形文化財
<施設の形式・諸元>
石アーチ
橋長/ 18.87m 幅員/ 2.8m 橋高/ 4m
支間/ 5m(3 連)