NAGASAKI 10
伊木力橋梁
長崎県諫早市多良見町
珍しい放物線を描く断面
ポータルも中も総石積みの橋梁
彫刻された石のポータル
明治のままのトンネル内部
伊木力橋梁は、諫早市多良見町山川内郷の道路を跨ぐ、JR 長崎本線にある現役の橋梁です。
長崎線として明治31年(1898)、九州鉄道により建設されたもので、彫刻された重厚な石造りのポータル。環石が縦に長い放物線状を描き、上半分の卵にも見える断面は、総石造りの鉄道用橋梁としては、とても珍しいものです。
草木に埋もれた
双子のごとき山川内橋梁
トンネルの中に入ると、完成当時のままの、総石積みの空間が見事に広がっています。
さらに、草木に覆われていますが、伊木力橋梁のすぐ横に、伊木力川を跨ぐ山川内橋梁があり、段々の石張りとなった川床を流れる水を堂々と跨いでいます。材料に共通性がみられるほか、卵形の断面もそっくりで、同時期の同じ設計者による工事のようにも見受けられます。
今なお現役の、双子のごとき橋梁です。
DATA
所在地/長崎県諫早市多良見町、JR長崎本線
完成年/明治31年(1898)
管理者/JR九州
<施設の形式・諸元>
石拱渠(石ポータル、放物線)
径間/ 6.1m