NAGASAKI 28
佐保橋
長崎県対馬市豊玉町佐保 市道(佐保川)
対馬の石文化を物語る
大石浦の砂岩を材とした桁橋
大石浦の砂岩を使った
分厚い桁をもつ石橋
佐保橋は、大正6 年(1917)に、対馬市豊玉町の佐保川河口近くに架けられた3 連の石橋で、各3 本2 対の橋脚で支えられた桁橋です。
大石浦で切り出された砂岩が使用されており、九州の他の地域で多く見られるような溶岩が凝結した花崗岩ほどの硬さがないため、桁厚が大きいのが特徴です。橋の長さ9.5m、幅2.7m、川床からの高さは1.8m。橋脚は各3本2 対の30cm 角の石柱で支えられています。
石造建築の文化を伝える
大石浦砲台跡
対馬は国境の島であり、歴史の中で、国防そして大陸に向かう最前線でした。
明治20 年(1887)、浅茅湾に面した竹敷港には海軍の拠点がおかれ、昭和20 年までに30 箇所を超える多くの砲台が建設され、島の要塞化が進められました。佐保橋の石が切り出されたという豊玉町深里(ふかり)の大石浦にも、明治21 年(1889)、島内3 番目に完成した大石浦砲台跡があります。
現在も残る弾薬庫も総石造りで、砂岩の石切場などの跡も残ります。
最終的に対馬要塞は、本格的な戦闘は一度も経験することなく、すべての砲台は使われぬまま終戦を迎えました。
島に残る戦争遺跡の建造物が、国境の歴史を物語っています。
DATA
所在地/長崎県対馬市豊玉町佐保 市道(佐保川)
完成年/大正6 年(1917)
管理者/対馬市
文化財指定等/対馬市指定文化財
<施設の形式・諸元>
石桁橋
橋長/ 9.5m
支間/ 2.7m(3 連)