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OITA 12

鳥居橋

大分県宇佐市院内町香下

ルース台風にも耐えた5 連アーチ
気品ある「石橋の貴婦人」

すらりとした橋脚と
地形に沿った異なるアーチ

宇佐市院内町は「石橋の町」。駅館川(やっかんがわ)に合流する恵良川とその支流には江戸時代末期から昭和初期の石橋が75 基架かり、うちアーチ橋は64 基と、どちらも日本一を誇ります。材質となる石が豊富に採石できたこと.そして棚田や石垣などを組む技術を持った、優れた石工が多かったためと云われています。
その一つ鳥居橋は、天に伸びる、すらりとした優美な橋脚は気品さえ感じることから、「石橋の貴婦人」と称えられる石橋です。恵良川と両岸の道を跨ぐアーチ橋は、地盤や川の流れ、洪水時を考え抜かれた設計で、5 つの径間や厚みが異なりつつ、調和のとれた設計となっています。

「とりいばし」と刻まれた親柱

名棟梁松田新之助施工
新橋との土木技術のコントラスト

大正5 年(1916)の完成で、設計・施工は、松田新之助。院内町に生まれた松田新之助は、関西・関東で土木事業に身を投じて技術を学び、明治30 年(1897)、30 歳で帰村。石工たちを束ね、今に残る石アーチ橋を数多く手掛けた名棟梁です。
以来、昭和26 年(1951)、町内242 戸の家屋を全壊流出する被害となったルース台風をはじめとする、大洪水にも耐えてきました。上流に新橋ができた今も自動車交通可能な鳥居橋。アーチ越しに、土木技術のコントラストを感じる眺めとなっています。

橋横の階段を降りると間近に見える構造

DATA

所在地/大分県宇佐市院内町香下

完成年/大正5 年(1916)

設計者・施工者/ 石工 松田新之助

文化財指定等/県指定有形文化財

<施設の形式・諸元>

石アーチ(凝灰岩)

橋長/ 55.15m 橋幅/ 4.35m

径間/ 11.0m(5 連)