
OITA 20
乙原貯水池 堰堤、取水塔
別府市乙原字向ヶ原間
温泉地別府を今なお潤す水源
大分県最古の貯水池

都市経営上最も緊要なるは
豊富なる良水を得ることにあり
乙原ダムは、大分県下では最も古い貯水池です。
明治39年(1906)、別府町時代に、日本一の湧出量を誇る温泉保養地として、都市づくりの観点から「都市経営上最も緊要なるは豊富なる良水を得ることにあり」として、水道計画が立案されました。
その後、大正6年(1917)、観光施設ラクテンチの南側、乙原川上流に乙原貯水池が完成。堰堤は粗石積みの石張りで、堰堤長は60.6m、高さ16.36m、総貯水量6,000㎥。現在のダムからすればとても小さな規模ですが、この貯水池の工事費は、現在の価格では想定しがたいほどの巨額なものであったといいます。
堰堤中央にトンガリ帽子風の煉瓦造りの三角屋根をした取水塔があり、高欄は石の布積みと煉瓦積みの意匠です。絵葉書にも紹介されていることから、観光地を念頭においたモダンなデザインであったことが伺え、水に映る姿が美しい貯水池です。

100年を越えた今も
別府市水源の一翼を担う
創設以来100年を越えて風雨にさらされていますが、今もなお大分川、鮎返川をあわせた3つの流れを集める朝見浄水場を通して、温泉都市別府市水源の一翼を担っています。
夏には、堰堤石垣にツタが繁茂し、秋には周囲の木々の紅葉等、四季それぞれに美しい景観を見せてくれるダムは、昭和60年(1985)に、厚生省(当時)の水道100選にも選ばれました。
現在、施設への立ち入りは、許可を受けない限り禁止されています。

DATA
所在地/大分県別府市乙原字向ヶ原間
朝見川水系乙原川
完成年/大正6年(1917)
管理者/別府市
文化財指定等/水道100選
<施設の形式・諸元>
重力式コンクリートダム
堤高/16.4m 堤頂長/60.6m
総貯水容量/6,000㎥
