OITA 26
若宮井路笹無田石拱橋
大分県竹田市挟田
鉄管、木橋、そして石拱橋へ
川を跨ぐ若宮井路の水路橋
現役で134haを潤す
明治34年完成の水路橋
竹田市挟田地区には、緑深い山あいを走る豊肥本線に沿って笹無田石拱橋と鏡石拱橋の2つの石造アーチが架かっています。
これらの橋は、幹線道路や鉄道との併走、交差が面白く、橋をさまざまな角度から見せてくれていますが、田畑を潤す灌漑用水のために造られた水路橋で、現在も水が勢いよく流れています。
若宮井路は稲葉川に水の取り入れ口を設け、明治34年(1901)に通水しました。本渠延長20km、支渠・分渠からなり、旧朝地町(現・豊後大野市)の約134haの耕地に水を供給しています。
壮絶な再建の歴史
豊肥本線の車窓から見る水路橋
笹無田石拱橋はいくつかの川を渡るため、当初は鉄管によるサィフォン方式でしたが、その維持には苦難の歴史がありました。
明治36年(1903)、錆による腐食によって決壊したため仮設木造橋となりますが漏水があり、大正5年(1916)に石拱橋に架け替えられます。しかし、通水からわずか5日後に崩壊。翌年に再建完成したのが、今の姿です。
石造二連アーチ橋で長さ59m、幅4m。道路と笹無田川を跨ぐ、巨大な橋として広く知られています。豊肥本線の橋梁を渡る車窓からの眺めに圧倒される土木遺産です。
DATA
所在地/大分県竹田市挟田
完成年/大正6年(1917)
設計者/工藤虎彦
施工者/川野 茂太郎
管理者/朝地町土地改良区
文化財指定等/国登録有形文化財
<施設の形式・諸元>
石アーチ水路橋
橋長/ 59m 橋幅/ 4m
支間/ 21.5m(2連) 拱矢/ 9m