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OITA 40

近戸橋

大分県臼杵市乙見

乙見ダムの湖の底で
200 年の時を刻む幻の石橋

私財を投じた石橋は
ダムの底へ

近戸橋は、明治26 年(1893)、臼杵川を渡る藩道の間戸水車橋に代わって、その下流に架けられた石拱橋です。
釘宮八重蔵、足立三代蔵、芦刈倉蔵の3 名の石工により、野津町深谷から臼杵市掻壊までの道路工事の一環として造られました。私財を投じた橋の請負人、堀太市は、大義をなした人として語り継がれていますが、時代の流れの中で、今はダムの底に沈んでいます。

年に数回だけ姿を現す

風連鍾乳洞と臼杵石仏を結んだ
観光路線という使命を終えて

乙見ダムが完成した昭和43 年(1968)までは、風連鍾乳洞と臼杵石仏を結んだ観光路線の使命も果たした橋でした。上流側の壁石は、昭和初期に積み直した布積みとなっています。要石の上、橋面までの土被りの厚さは石一本程度で、橋の美しさを際だたせています。
現在はその下流側に新たな近戸橋(PC 橋)が架設されています。ダムの満水時には湖の底に隠れ、渇水時は現れる、その姿を国道204 号から眺めることができます。
200 年の時を刻む、幻の石橋です。

夏の水面にうつる近戸橋

DATA

所在地/大分県臼杵市乙見

完成年/明治26 年(1893)

施工者/石工 釘宮八重蔵・足立三代蔵・芦刈倉蔵

管理者/臼杵市

文化財指定等/臼杵市指定文化財

<施設の形式・諸元>

石アーチ

橋長/ 26.7m 幅員/ 5.4m

支間/ 23.7m(1 連) 拱矢/ 11.14m