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OITA 54

白水(溜池)堰堤

大分県竹田市大字次倉

緻密な設計で生まれる「転波」
機能ある流水美

緻密な石張りによって
生まれる「転波」

白水堰堤は、竹田市砥地区万田迫から豊後大野市緒方町内の田畑へと配水する、昭和13 年(1938)竣工の越流式重力式コンクリート造および石造の堰堤です。
深い谷に農地が散在するこの地は、古くから天水と湧水頼みで、度々、干害に見舞われていました。富士緒井路の水不足対策ともなり、完成以来、この地域の大切な農業用水となっています。
主堰堤は上流側が純コンクリート造、下流側が粗石コンクリート造。小型のダムながら、緻密な石張りによって生まれる「転波」と呼ばれる様が美しく、レース模様の流水は、芸術性さえ感じさせます。

転波の風景

落水の衝撃を防ぐ
右岸と左岸流水路の異なる設計

右岸側は湾曲面状、左岸側は雛壇状の流水路となっているのは、阿蘇山周辺の火山性地質で地盤が脆弱なことから、落水の衝撃による崩壊を避けるため。水流が強まると左右の水流が中央部の水流を弱めるようになっています。
完成を見ずに亡くなった大分県農業土木技師、小野安夫の、技術と情熱が感じられる設計です。堰堤までの道は曲がりくねった細い農道が続き、専用の駐車場からの約800m は森の中を歩きますが、類い稀な流水美で人びとを魅了しています。

渓谷を渡る御沓橋と院内町の風景

DATA

所在地/大分県竹田市大字次倉

完成年/昭和 13 年(1938)

設計者/大分県土木技手(技師) 小野安夫

施工者/本体施工者/株式会社溝口組

管理者/ダム事業者/富士緒井路土地改良区

文化財指定等/国指定重要文化財

<施設の形式・諸元>

重力式コンクリート(重力式割石コンクリート)

河川/大野川水系大野川

目的/農業かんがい

堤高/ 14.1 m 堤頂長/ 87.26 m

湛水面積/ 10 ha 総貯水容量/ 600,000 ㎥