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SAGA 14

鳥羽重ね

佐賀県嬉野市塩田町塩吹

二重堤防に引き入れ
激流を和らげる治水の仕組み

荒れ川の歴史が生んだ
鳥の羽を重ねたような独特のかたち

嬉野市の中心を流れる塩田川は、有明海の満ち潮を利用した水運が盛んな川でしたが、その地勢ゆえに、古来から頻繁に洪水を引き起こし、多くの被害をもたらした荒れ川でした。
鳥羽重ね(とりのはがさね)とは、河川の洪水、堤防の決壊による被害を最小限に食い止めるため、塩田川本流の堤防を切断して、濁流を川の湾曲内側の二重堤防の中に導き、その激流を和らげる遊水地のことです。

鳥羽重ねの構造

蓮池藩西目の治水の神
前田伸右衛門

宝歴13年(1763)に、時の庄屋前田伸右衛門によって堤防が改修され、蛇行している塩田川の右岸、左岸交互に外側の堤防、内側の堤防があたかも鳥の羽を重ねたようになったことから、鳥羽重ねと呼ばれました。遊水地内は、平らな水田で上流から流れてきた泥流は、水が引くとともに肥料分を含んだ土を置き土産としたため、肥沃な良田となりました。
前田伸右衛門は、河港の塩田津に生まれ、教育や土木事業に尽力し、佐賀鍋島藩の3 支藩の一つ、蓮池藩西目の治水の神として賞されています。鳥羽重ねは、塩田川の各地に作られていましたが、河川改修等に伴い現在その遺構が残されているのは、「源蔵地区」の一ヶ所だけとなっています。

鳥羽重ねの堤防(改修)

DATA

所在地/嬉野市塩田町塩吹

完成年/宝歴13年(1763年)

設計者/庄屋 前田伸右衛門

鍋島藩祖 鍋島直澄

施工者/鍋島藩

管理者/佐賀県

<施設の形式・諸元>

堤防(遊水池)

延長/約2.5km

堤防切断地/ 7 箇所

遊水地/ 7 箇所