SAGA 02
大谷川隧道
唐津市大字千々賀 大谷川、徳須恵川
2 年がかりで山を貫いた
煉瓦の河川トンネル
河童伝説が残る氾濫地域
村民総出で工事
大谷川隧道は、明治33年(1900)の耕地整理法の施行に伴う大谷川の付け替えの河川トンネルで、山裾を迂回する大谷川を最短距離で徳須恵川につなでいます。村民総出で2年がかりで山を貫き、明治44年(1911)に完成しました。
昔から、唐津市の千々賀(ちちか)は、出水による耕作地被害が頻繁に起こっていました。徳須恵川には、水神の化身ともいわれる河童の伝説が数多く残っています。
水神の化身、河童とともに
田畑を守る煉瓦の隧道
ポータルの笠石、帯石、付け柱(ピラスター)が鳥居形で三重煉瓦のアーチに要石だけが石で、五角形が美しいアクセントとなっています。壁面はイギリス積みです。
隧道の全長は92m に及び、煉瓦巻立の三心円アーチ構造で、出口側側壁高は入口に比べて20 ~ 30cm ほど低くなっています。ポータルとは違い、長手積みの煉瓦の色は赤紫に近く、比較的高温で焼かれたものとみられています。
大谷川隧道は、今も現役で、千々賀の田畑を守り続けています。
DATA
所在地/唐津市大字千々賀 大谷川、徳須恵川
完成年/明治44年(1911)
設計者/坂本多作・石井亀吉・真木定夫
管理者/佐賀県
<施設の形式・諸元>
三心円アーチの河川トンネル
延長:92.22m
入口内空高:2.4m
入口底盤幅:2.745m
入口側壁高:1.18m